北海道大学 1995年度
後期・理系数学 後期 第3問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 数列、指数・対数、論証・証明
- 解法
- 不等式評価、漸化式の変形、はさみうち
- 難易度
- 7 / 10 計算量 5 / 10 目安 —
問題
実数列{an}n=0∞は次の漸化式を満たしているものとする.
a0=0,an+1=e−an(n=0,1,2,⋯⋯)
また,cをc=e−cを満たすただ1つの実数とする.このとき,次の問に答えよ.ただし,eは自然対数の底とする.
(1) 1−e−x≦xであることを示せ.
(2) an>cならば,0<c−an+1<e−c(an−c)であることを示せ.
(3) n→∞liman=cとなることを示せ.
出典:北海道大学 1995年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第3問
方針
まず不等式 1−e−x≦x を関数の最小値で示す。漸化式では c の上下が1項ごとに入れ替わることを確認し,c からの距離が縮む評価を作る。偶数番目と奇数番目の極限を置き,最後に2つの極限が一致することを示す。
解答
(1)
ϕ(x)=x−1+e−x とおく。すると ϕ′(x)=1−e−x であり,x<0 で ϕ′(x)<0,x>0 で ϕ′(x)>0 である。したがって ϕ(x) は x=0 で最小値をとり,ϕ(0)=0 である。よってすべての実数 x について x−1+e−x≧0 すなわち 1−e−x≦x が成り立つ。
(2)
an>c とする。指数関数 e−x は減少するので an+1=e−an<e−c=c であり,0<c−an+1 がわかる。また c−an+1=e−c−e−an=e−c{1−e−(an−c)} である。ここで an−c>0 なので,(1) を x=an−c に用いると 1−e−(an−c)<an−c である。したがって 0<c−an+1<e−c(an−c) が成り立つ。
(3)
まず c=e−c より 0<c<1 である。実際,c>0 は明らかであり,c≧1 なら c=e−c≦e−1<1 となって矛盾する。 a0=0<c,a1=1>c である。また,an<c なら an+1=e−an>e−c=c,an>c なら an+1<c である。よって数列は c の下側と上側を交互に動く。
次に c からの距離が縮むことを示す。an>c の場合は (2) と e−c=c<1 より 0<c−an+1<an−c である。an<c の場合は an+1−c=e−an−e−c=e−an{1−e−(c−an)} であり,(1) から 0<an+1−c<e−an(c−an)≦c−an となる。したがって各段階で ∣an+1−c∣<∣an−c∣ が成り立つ。
このため偶数番目 a2m は c より小さい側から上に近づき,奇数番目 a2m+1 は c より大きい側から下に近づく。そこで limm→∞a2m=u,limm→∞a2m+1=v とおくと u≦c≦v であり,漸化式から v=e−u,u=e−v である。
もし u<v なら v−u=e−u−e−v=e−u{1−e−(v−u)} である。(1) を x=v−u>0 に用いると 1−e−(v−u)<v−u なので v−u<e−u(v−u) となる。ここで e−u=v であり,v≦1 だから v−u<v(v−u)≦v−u となって矛盾する。したがって u=v である。
共通の極限を L とすると,L=e−L を満たす。問題文よりこの実数はただ1つで,それが c である。よって n→∞liman=c である。