北海道大学 1985年度
文系数学 前期 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 文系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、方程式・不等式、複素数平面
- 解法
- 恒等式比較、解と係数の関係、式変形
- 難易度
- 6 / 10 計算量 4 / 10 目安 15〜22分
問題
行列A=(acbd)がA2+A=−Eを満たすとする.このとき,2次方程式x2−(a+d)x+ad−bc=0の解の3乗は1となることを示せ.ただし,a,b,c,dは実数とし,E=(1001)とする.
出典:北海道大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験 文系 前期 第1問
方針
行列方程式を成分で比較し,対角成分と非対角成分の式を取り出す。非対角成分から,もし a+d+1=0 なら b=c=0 となるが,その場合は実数 a が a2+a+1=0 を満たすことになり不可能である。したがって a+d=−1 が決まる。さらに対角成分から ad−bc=1 を示せば,与えられた2次方程式は x2+x+1=0 となり,その解は1でない3乗して1になる数であると分かる。
解答
行列方程式 A2+A=−E を成分で比較する。まず
A2=(a2+bcac+cdab+bdbc+d2)
であるから,
A2+A=(a2+bc+ac(a+d+1)b(a+d+1)bc+d2+d)
である。これが
−E=(−100−1)
に等しいので a2+bc+a=−1, b(a+d+1)=0,c(a+d+1)=0, d2+bc+d=−1 を得る。
ここで,もし a+d+1=0 であったとする。このとき非対角成分の式から b=0,c=0 である。すると対角成分の式は a2+a=−1 すなわち a2+a+1=0 を含む。しかしこの方程式の判別式は 1−4=−3<0 であり,実数 a については成り立たない。したがって a+d+1=0 でなければならない。よって a+d=−1 である。
次に d=−a−1 を用いる。対角成分の式 a2+bc+a=−1 から bc=−a2−a−1 である。一方 ad=a(−a−1)=−a2−a なので ad−bc=(−a2−a)−(−a2−a−1)=1 である。
したがって,与えられた2次方程式は x2−(a+d)x+ad−bc=0 であるから x2+x+1=0 となる。この解を ω とする。ω=1 なら左辺は3となるので,ω=1 である。また ω2+ω+1=0 を満たすから ω3−1=(ω−1)(ω2+ω+1)=0 である。ω−1=0 なので ω3=1 である。よって,この2次方程式の各解の3乗は1となる。