北海道大学 1982年度
理系数学 前期 第2問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、ベクトル
- 解法
- 式変形、ベクトル成分計算、場合分け
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 20〜28分
問題
a+b=c+dを満たす行列(acbd)全体の集合をRとする.ただしa,b,c,dは実数とする.
(1) A,B∈Rのとき,AB∈Rであることを示せ.
(2) A=(acbd)∈Rとする.b=0またはc=0のとき,Au=kuを満たす実数kと単位ベクトルuの組をすべて求めよ.
出典:北海道大学 1982年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第2問
方針
(1) は a+b=c+d を「(1,1)T が同じ向きに移る」という形で表すと、積について閉じていることが短く示せる。(2) は Au=ku を満たす非零ベクトルの方向をすべて求める問題である。まず (1,1)T が必ず1つの方向を与える。残りについては A−kI の成分条件を使い、可能な k が a+b と a−c に限られることを示す。最後に単位ベクトルへ正規化し、b=−c のとき2つの表示が重なることを明記する。
解答
{(1) e=(1,1)T とおく。A∈R であることは、ある実数 s により Ae=se と書けることと同値である。Ae=se, Be=te なら
ABe=A(te)=ste
だから AB∈R である。
(2)
d=a+b−c である。まず
A(11)=(a+b)(11)
より、k=a+b, u=±2−1/2(1,1)T を得る。
全解性を確認する。A(p,q)T=k(p,q)T が非零解をもつには
0=det(A−kE)=(a−k)(a+b−c−k)−bc=(k−a−b)(k−a+c)
である。したがって k=a+b または k=a−c に限られる。前者では −bp+bq=0, cp−cq=0 であり、b=0 または c=0 だから p=q となる。後者では cp+bq=0 だから、方向は (p,q)=(b,−c) である。実際、d=a+b−c を用いると
A(b−c)=(a−c)(b−c).
よって求める組は
(a+b, ±21(11)),(a−c, ±b2+c21(b−c)).
ただし b=−c のときは2つの表示が同じ組を与えるので、重複は1回だけ数える。}