東京大学 1996年度
文系数学 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 文科一類・文科二類・文科三類
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、方程式・不等式
- 解法
- 式変形、場合分け、同値変形
- 難易度
- 4 / 10 計算量 3 / 10 目安 8分
問題
aを実数とする。行列
X=(xy−yx)
が
X2−2X+aE=O
を満たすような実数x,yを求めよ。ただし,
E=(1001),O=(0000)
とする。
出典:東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 文系 第1問
方針
まず行列の積を成分で計算し,零行列になる条件を対角成分と非対角成分に分ける。非対角成分は積の形になり,ここから y=0 と x=1 の二つの場合だけを調べればよいことが分かる。それぞれで残った実数方程式を解き,最後に a<1,a=1,a>1 の境目で解の重複がないように整理する。なお,同じ形の行列を複素数 x+yi に対応させると,別解として二次方程式 (z−1)2=1−a に直すこともできる。
解答
行列の積は
X2=(x2−y22xy−2xyx2−y2)
である。したがって
X2−2X+aE=(x2−y2−2x+a2y(x−1)2y(1−x)x2−y2−2x+a)
となる。これが零行列であることは x2−y2−2x+a=0,2y(x−1)=0 と同値である。
まず y=0 の場合を考える。このとき x2−2x+a=0 であり,(x−1)2=1−a となる。よって実数解をもつのは a≦1 のときで,そのとき x=1±1−a,y=0 である。
次に x=1 の場合を考える。このとき 1−y2−2+a=0 すなわち y2=a−1 である。よって実数解をもつのは a≧1 のときで,そのとき x=1,y=±a−1 である。
ただし a=1 では,前者からも後者からも同じ解 (x,y)=(1,0) が得られる。したがって求める実数 x,y は
⎩⎨⎧(x,y)=(1+1−a,0),(1−1−a,0)(x,y)=(1,0)(x,y)=(1,a−1),(1,−a−1)(a<1),(a=1),(a>1)
である。
別解。同じ形の行列
(xy−yx)
を複素数 z=x+yi に対応させると,行列の加法・乗法は複素数の加法・乗法と同じ形になる。したがって与えられた式は z2−2z+a=0 すなわち (z−1)2=1−a に対応する。a<1 なら z=1±1−a,a=1 なら z=1,a>1 なら z=1±a−1i である。実部と虚部を読むと,上で得た (x,y) と一致する。