東京大学 1981年度
文系数学 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 文科一類・文科二類・文科三類
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、図形と方程式
- 解法
- 回転・拡大、場合分け、範囲評価
- 難易度
- 5 / 10 計算量 5 / 10 目安 16〜22分
問題
A=(−13−3−1)とし,正の整数nについて(xnyn)=An(10)とおく.つぎに,αを実数とし,xy平面上の点(xn,yn)と点(a,0)との距離をdnとする.このとき,dn+1>dnがすべての正の整数nに対して成り立つような,aの値の範囲を求めよ.
出典:東京大学 1981年度 前期日程 第2次学力試験 文系 第1問
方針
行列 A は長さを2倍し、偏角を 2π/3 だけ回す変換として扱える。したがって (xn,yn) は半径 2n、角 2nπ/3 の点で、xn は3周期で表せる。距離は大小比較だけなので dn2 を用い、dn+12−dn2>0 を n の3つの剰余類に分ける。各不等式で最も厳しい n を選んで共通範囲を取る。
解答
行列 A は、複素数 z=x+iy に対して z↦(−1+3i)z を行う変換と同じである。ここで −1+3i=2(cos32π+isin32π) であるから xn+iyn=2n(cos32nπ+isin32nπ) である。
点 (xn,yn) と (a,0) との距離の2乗は dn2=(xn−a)2+yn2=xn2+yn2−2axn+a2 である。xn2+yn2=4n だから dn2=4n−2axn+a2 である。したがって dn+12−dn2=3⋅4n−2a(xn+1−xn) となる。dn,dn+1 は距離で非負なので、dn+1>dn は dn+12−dn2>0 と同値である。 xn=2ncos(2nπ/3) を3つの場合に分ける。 n≡0(mod3) のとき xn=2n,xn+1=−2n なので xn+1−xn=−2n+1 である。よって 3⋅4n+2a⋅2n+1>0 となり、a>−3⋅2n−2 を得る。この範囲で最も厳しいのは最小の n=3 から a>−6 である。 n≡1(mod3) のとき xn+1−xn=−2n−1 であり、同様に a>−3⋅2n を得る。最も厳しいのは n=1 で、やはり a>−6 である。 n≡2(mod3) のとき xn+1−xn=5⋅2n−1 であるから 3⋅4n−10a⋅2n−1>0 となる。したがって a<532n である。この範囲で最も厳しいのは n=2 から a<512 である。
以上を合わせて、求める範囲は −6<a<512 である。