名古屋大学 2020年度
理系数学 第3問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 積分、微分、三角関数
- 解法
- 不等式評価、定積分評価、置換、対称性の利用
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 24分
問題
以下の問に答えよ。
(1) 関数f(x)は,区間0≦x≦2πで第2次導関数f′′(x)をもちf′′(x)>0をみたしているとする。区間0≦x≦πで関数F(x)を
F(x)=f(x)−f(π−x)−f(π+x)+f(2π−x)
と定義するとき,区間0≦x≦2πでF(x)≧0であることを示せ。
(2) f(x)を(1)の関数とするとき
∫02πf(x)cosxdx≧0
を示せ。
(3) 関数g(x)は,区間0≦x≦2πで導関数g′(x)をもちg′(x)<0をみたしているとする。このとき,
∫02πg(x)sinxdx≧0
を示せ。
出典:名古屋大学 2020年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第3問
方針
(1)はF(π/2)=0を確認し、F′(x)を計算する。f′′>0からf′は増加関数なので、0≦x≦π/2でF′(x)≦0となり、左側ではF(x)≧0が従う。(2)は積分区間を4つに分け、x,π−x,π+x,2π−xを同じ0≦x≦π/2へ移すとF(x)cosxになる。(3)は2π−xとの対称性だけで、単調減少性から被積分関数の符号を出す。
解答
(1)
定義より
F(2π)=f(2π)−f(2π)−f(23π)+f(23π)=0
である。
また F′(x)=f′(x)+f′(π−x)−f′(π+x)−f′(2π−x) である。f′′(x)>0よりf′(x)は増加関数である。0≦x≦π/2では x≦π+x,π−x≦2π−x だから f′(x)≦f′(π+x),f′(π−x)≦f′(2π−x) である。よって F′(x)≦0 である。
したがってFは0≦x≦π/2で減少関数であり、x≦π/2に対して F(x)≧F(2π)=0 となる。これで示された。
(2)
積分を4つの区間に分け、それぞれ0≦x≦π/2の積分に直す。
第1区間はそのまま ∫0π/2f(x)cosxdx である。第2区間ではt=π−xとおくと ∫π/2πf(x)cosxdx=−∫0π/2f(π−t)costdt である。第3区間ではx=π+tとおくと ∫π3π/2f(x)cosxdx=−∫0π/2f(π+t)costdt である。第4区間ではt=2π−xとおくと ∫3π/22πf(x)cosxdx=∫0π/2f(2π−t)costdt である。
これらを足し合わせ、文字tをxに戻すと ∫02πf(x)cosxdx=∫0π/2F(x)cosxdx となる。(1)よりF(x)≧0であり、0≦x≦π/2ではcosx≧0だから ∫02πf(x)cosxdx≧0 である。
(3)
後半の区間でt=2π−xとおくと、∫π2πg(x)sinxdx=−∫0πg(2π−t)sintdt である。したがって ∫02πg(x)sinxdx=∫0π{g(x)−g(2π−x)}sinxdx となる。
0<x<πではx<2π−xである。g′(x)<0よりgは減少関数だから g(x)>g(2π−x) である。また0<x<πではsinx>0である。よって被積分関数は0以上であり、端点での値は積分に影響しない。したがって ∫02πg(x)sinxdx≧0 である。