名古屋大学 2005年度
後期・理系数学 後期第1問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)
- 解法
- 恒等式比較、文字消去、計算整理
- 難易度
- 6 / 10 計算量 7 / 10 目安 —
問題
2次正方行列
X=(a1−a2−a3−b)とY=(c2−c1−cc)
について,つぎの等式が成り立つとする.ただし,a,b,cは実数とする.
(X+Y)(X−Y)=X2−Y2
つぎの各問に答えよ.
(1) bとcを,それぞれaで表せ.
(2) Z=X2+2XY+Y2とする.Zの各成分をa,b,cを用いずに表せ.
(3) X4=kE(kは実数)を満たすXおよびkを求めよ.ここで,E=(1001)である.
出典:名古屋大学 2005年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期第1問
方針
与えられた等式は展開すると (X+Y)(X−Y)=X2−XY+YX−Y2 であり,右辺 X2−Y2 と比べて YX=XY と同値になる。したがって(1)は行列の成分比較で b,c を a で表す。(2)では(1)を代入すると X+Y=3E となるので,Z=(X+Y)2 を使えば成分計算をほぼ避けられる。(3)は(1)で得た X を用いて X4 の非対角成分を調べ,実数条件で消える場合を絞る。
解答
(1)
まず与式を展開する。 (X+Y)(X−Y)=X2−XY+YX−Y2 である。これが X2−Y2 に等しいので −XY+YX=0 すなわち XY=YX である。
成分を比較する。計算すると
XY=(ac+(2−a)(2−c)(1−a)c+(3−b)(2−c)a(1−c)+c(2−a)(1−a)(1−c)+c(3−b))
であり,
YX=(ac+(1−c)(1−a)(2−c)a+c(1−a)2c−ac+(1−c)(3−b)(2−c)(2−a)+c(3−b))
である。対応する成分を比較して整理すると b=3−a,c=3−a を得る。
(2)
(1)を代入すると
X=(a1−a2−aa),Y=(3−aa−1a−23−a)
である。したがって
X+Y=(3003)=3E
となる。
また(1)より XY=YX であるから Z=X2+2XY+Y2=(X+Y)2 とまとめられる。よって
Z=(3E)2=9E=(9009)
である。
(3)
(1)より
X=(a1−a2−aa)
である。この X について X4 を計算し,非対角成分だけに注目する。X4=kE なら非対角成分はともに0でなければならない。
計算すると,X4 の (1,2) 成分は −4a(a−2)(2a2−3a+2) であり,(2,1) 成分は −4a(a−1)(2a2−3a+2) である。ここで 2a2−3a+2=2(a−43)2+87>0 であるから,実数 a に対して0にはならない。
したがって非対角成分がともに0になるには a(a−2)=0,a(a−1)=0 が同時に成り立つ必要がある。これを満たす実数は a=0 だけである。
このとき
X=(0120)
であり,
X2=(2002)=2E
だから X4=(2E)2=4E である。よって
X=(0120),k=4
である。