名古屋大学 1982年度
理系数学 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 数と式、論証・証明
- 解法
- 不等式評価、式変形、対称性の利用
- 難易度
- 5 / 10 計算量 4 / 10 目安 —
問題
a≧b>0とする.自然数n≧1に対して次の不等式を証明せよ.
an−bn≦2n(a−b)(an−1+bn−1)
出典:名古屋大学 1982年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第1問
方針
b>0 で割って x=ba≧1 に正規化する。すると不等式は等比数列の和 1+x+⋯+xn−1 の評価に変わる。各 k について xk と xn−1−k を端から組にし、(xk−1)(xn−1−k−1)≧0 から和を 1+xn−1 で押さえる。
解答
b>0 なので x=ba とおく。このとき x≧1 である。求める不等式の両辺を bn で割ると xn−1≦2n(x−1)(xn−1+1) を示せばよいことになる。 x=1 のときは両辺とも0であり、等号で成り立つ。以下 x>1 とする。このとき xn−1=(x−1)(1+x+⋯+xn−1) であるから、x−1>0 で割って 1+x+⋯+xn−1≦2n(1+xn−1) を示せば十分である。
任意の k=0,1,…,n−1 について、x≧1 より (xk−1)(xn−1−k−1)≧0 である。これを展開すると xn−1−xk−xn−1−k+1≧0 だから xk+xn−1−k≦1+xn−1. この不等式を k=0,1,…,n−1 についてすべて足す。左辺では各項 x0,x1,…,xn−1 が2回ずつ現れるので 2(1+x+⋯+xn−1)≦n(1+xn−1). したがって 1+x+⋯+xn−1≦2n(1+xn−1) である。
よって xn−1≦2n(x−1)(xn−1+1) が成り立ち、元の変数に戻して an−bn≦2n(a−b)(an−1+bn−1) が証明された。
別解の視点
端から項を組にする説明では、n が奇数のとき中央の項が余るように見える。上のように k=0 から n−1 まで全ての不等式を足す方法なら、各項が2回ずつ数えられるため、偶奇を分けずに処理できる。