問題
以下の文章を読んで後の問いに答えよ。
三角関数,については加法定理が成立するが,逆に加法定理を満たす関数はどのようなものがあるだろうか。実数全体を定義域とする実数値関数,が以下の条件を満たすとする。
(A) すべての,について
(B) すべての,について
(C)
(D) ,はで微分可能で,
(1)条件(A),(B),(C)から,がわかる。
以上のことから(2),はすべてのの値で微分可能で,
,が成立することが示される。
(3)上のことからであることが,
実部と虚部を調べることによりわかる。ただしは虚数単位である。
よって条件(A),(B),(C),(D)を満たす関数は三角関数,であることが示される。
さらに,,を実数でとする。このとき条件(D)をより一般的な
(D)' ,はで微分可能で,
におきかえて,条件(A),(B),(C),(D)'を満たす,はどのような関数になるか考えてみる。この場合でも,条件(A),(B),(C)から,が上と同様にわかる。ここで
とおくと,(4)条件(A),(B),(C),(D)において,
をに,をにおきかえた条件が満たされる。
すると前半の議論により,,がまず求まり,このことを用いると[ ア ],[ イ ]が得られる。
(1) 下線部(1)について,,となることを示せ。
(2) 下線部(2)について,がすべてのの値で微分可能な関数であり,となることを示せ。
(3) 下線部(3)について,下線部(1),下線部(2)の事実を用いることにより,となることを示せ。
(4) 下線部(4)について,条件(B),(D)において,をに,をにおきかえた条件が満たされることを示せ。つまりとが,
(B) すべての,について
(D) ,はで微分可能で,
を満たすことを示せ。また空欄[ ア ],[ イ ]に入る関数を求めよ。
方針
加法定理型の条件に、まず を代入して初期値を決める。次に を条件(A)で展開し、 の差分商から任意の での微分可能性と を示す。(3) では同様に得られる も使い、 と の2つの実関数が定数であることを示す。一般の では指数因子と変数変換で を標準形に直し、最後に と戻す。
解答
(1)
、 とおく。条件(A)で とすると である。また条件(B)で とすると である。
もし なら、 より である。これを に代入すると となり、 を意味する。これは が実数であることに反する。したがって である。
すると であり、条件(C)より だから である。よって である。
(2)
任意の実数 を固定し、 を に近づける。条件(A)より であるから、(1) の を用いて となる。両辺を で割ると である。
条件(D)より と は で微分可能で、、 である。したがって とすると右辺は に収束する。よって は任意の で微分可能であり、 が成り立つ。
(3)
同じように条件(B)から である。両辺を で割って とすれば を得る。
ここで とおく。、 を用いると であり、 である。したがって はともに定数である。 を代入すると、(1) より である。よってすべての で である。ところが であるから が成り立つ。
(4)
とおく。まず条件(B)を確認する。任意の について、もとの条件(B)より
である。よって
となる。
次に条件(D)を確認する。一般の場合でも 、 であり、条件(D)'より 、 である。したがって であり、 である。よって は条件(D)を満たす。
なお、条件(A)についても同じ計算で が成り立ち、 であるから条件(C)も満たす。したがって前半の結果を に適用でき、 である。 とおくと である。したがって を得る。変数名を に戻せば、空欄は である。