京都大学 1986年度
文理共通数学 文系第1問・理系第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 文系・理系共通
- 分野
- 方程式・不等式、数列
- 解法
- 不等式評価、和の計算、計算整理
- 難易度
- 4 / 10 計算量 3 / 10 目安 10〜15分
問題
すべては0でないn個の実数a1,a2,⋯,anがあり,a1≦a2≦⋯≦anかつa1+a2+⋯+an=0を満たすとき,a1+2a2+⋯+nan>0が成り立つことを証明せよ.
出典:京都大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験 文理共通 文系第1問・理系第1問
方針
整列条件と総和0から,前から k 個までの部分和がすべて負になることをまず示す。もし途中の部分和が0以上なら,単調性により残りの項も正になって全体の和0に反する。次に重み付き和 a1+2a2+⋯+nan を尾部和の和として書き換える。尾部和は部分和の反対符号なので正となり,正の数の和として結論が出る。
解答
1≦k≦n−1 に対して Ak=a1+a2+⋯+ak とおく。まず Ak<0 を示す。
もしある k<n について Ak≧0 であったとする。a1≦a2≦⋯≦ak であるから,もし ak≦0 なら a1,…,ak はすべて 0 以下であり,しかも各 ai は 0 でないので,Ak<0 となって矛盾する。したがって ak>0 である。
単調性より ak+1,ak+2,…,an≧ak>0 であるから,残りの和は正である。すると a1+a2+⋯+an=Ak+(ak+1+⋯+an)>0 となり,総和が 0 であることに反する。よって Ak<0(1≦k≦n−1) である。
したがって,各 k=1,2,…,n−1 について ak+1+ak+2+⋯+an=−Ak>0 である。
一方,重み付き和は尾部和を並べて数えると ∑k=1n−1(ak+1+ak+2+⋯+an)=a2+2a3+⋯+(n−1)an である。ここで総和が 0 なので a1+2a2+⋯+nan=(a1+a2+⋯+an)+(a2+2a3+⋯+(n−1)an) より a1+2a2+⋯+nan=∑k=1n−1(ak+1+ak+2+⋯+an) である。右辺は正の数の和であるから a1+2a2+⋯+nan>0 が成り立つ。
別解。総和が 0 であることを使うと,平均を基準にした重み付き和と見ることもできる。すなわち a1+2a2+⋯+nan=∑i=1n(i−2n+1)ai である。係数 i−(n+1)/2 は i とともに増加し,ai も増加している。負側に小さい項,正側に大きい項が対応するため,全体は正になる。この直観を答案として厳密に書くには上の部分和表示が最も短く確実である。