東京大学 2009年度
文系数学 第4問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 文科一類・文科二類・文科三類
- 分野
- 微分、積分、関数
- 解法
- 絶対値の処理、場合分け、定積分評価
- 難易度
- 5 / 10 計算量 5 / 10 目安 16分
問題
2次以下の整式f(x)=ax2+bx+cに対し
S=∫02∣f′(x)∣dx
を考える。
(1) f(0)=0,f(2)=2のときSをaの関数として表せ。
(2) f(0)=0,f(2)=2をみたしながらfが変化するとき,Sの最小値を求めよ。
出典:東京大学 2009年度 前期日程 第2次学力試験 文系 第4問
方針
条件f(0)=0,f(2)=2からc=0,b=1−2aを先に決め,f′(x)=2ax+1−2aの符号を調べる。Sは∣f′∣の積分なので,f′が区間内で符号を変えないときはf(2)−f(0)に等しい。符号が変わるときは,fがいったん極小または極大をとるため,その値を使って全変動を計算する。(2)は(1)の結果からも出せるが,別解として∫∣f′∣≧∣∫f′∣を使えば最小値だけを直接押さえられる。
解答
(1)
f(0)=0よりc=0である。またf(2)=2より 4a+2b=2 となるので b=1−2a である。したがって f(x)=ax2+(1−2a)x,f′(x)=2ax+1−2a である。
まず−21≦a≦21のときを考える。このとき f′(0)=1−2a≧0,f′(2)=1+2a≧0 である。f′(x)は1次式なので,区間0≦x≦2で常にf′(x)≧0となる。よって S=∫02f′(x)dx=f(2)−f(0)=2 である。
次にa>21のときを考える。このときf′(0)<0,f′(2)>0であり,f′(x)=0となる点は x0=1−2a1 である。a>1/2より0<x0<2である。この点でfは極小となり,
f(x0)=a(1−2a1)2+(1−2a)(1−2a1)=−4a(2a−1)2
である。したがってSは,f(0)=0から極小値まで下がる長さと,そこからf(2)=2まで上がる長さの和で S={0−f(x0)}+{2−f(x0)}=2−2f(x0) である。よって S=2+2a(2a−1)2=2a+2a1 となる。
最後にa<−21のときを考える。このときf′(0)>0,f′(2)<0であり,同じ点 x0=1−2a1 でfは極大となる。a<−1/2より0<x0<2であり,値は同じく f(x0)=−4a(2a−1)2 である。今度は0から極大値まで上がり,そこから2まで下がるので S={f(x0)−0}+{f(x0)−2}=2f(x0)−2 である。したがって S=−2a−2a1 となる。
以上より
S=⎩⎨⎧−2a−2a122a+2a1(a<−21),(−21≦a≦21),(a>21)
である。
(2)
(1)の結果より,−1/2≦a≦1/2ではS=2である。またa>1/2のときは 2a+2a1≧2 であり,a<−1/2のときも −2a−2a1≧2 である。したがってSの最小値は 2 である。
別解。最小値だけなら,絶対値積分の基本的な不等式から直接出せる。任意のfについて
S=∫02∣f′(x)∣dx≧∫02f′(x)dx=∣f(2)−f(0)∣=2
である。一方,例えばf(x)=xは条件f(0)=0,f(2)=2を満たし,このときf′(x)=1だから S=∫021dx=2 である。よって最小値はやはり2である。