東京大学 2007年度
後期・理系数学 後期 第2問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理科
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、数列、方程式・不等式
- 解法
- 計算整理、不等式評価、極限計算、漸化式の変形
- 難易度
- 8 / 10 計算量 8 / 10 目安 35分
問題
次の問に答えよ。
(1) 実数を成分とする行列
A=(abbc)(a2+b2=0)
に対し
B=(a−bba)A(a−bba)−1
とおく。Bは(rsst)の形であることを示し、r+t,rt−s2をa,b,cで表せ。
(2) (1)においてr2+s2≧a2+b2を示せ。
(3) 実数an,bn,cnを
(a0b0b0c0)=(1112)
とし、n≧1では(1)の変換を前の行列へ繰り返して定める。
(ア) n→∞limbn=0を示せ。
(イ) n→∞limanとn→∞limcnを求めよ。
出典:東京大学 2007年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第2問
方針
(1)は逆行列を求めて積を直接計算する。トレースと行列式に当たる2量が保たれる。(2)は r−a を明示して差を平方の形にする。(3)では保存量 an+cn=3, ancn−bn2=1 と、(1)の成分表示から得る bn=bn−1/(an−12+bn−12) を使う。
解答
(1)
d=a2+b2,D=ac−b2
とおく。d>0 であり、直接計算すると
B=d1(a3+2ab2+b2cbDbDaD).
したがって B は (rsst) の形である。また成分を整理すると
r+t=a+c,rt−s2=ac−b2.
(2)
(1)の成分表示から
r−a=a2+b2b2(a+c)
である。一方、r+t=a+c, rt−s2=ac−b2 を用いると
r2+s2−(a2+b2)=(a+c)(r−a)=a2+b2b2(a+c)2≧0.
よって主張が成り立つ。
(3)
(ア)
(1)より全ての n で
an+cn=a0+c0=3,ancn−bn2=a0c0−b02=1
である。また(2)から
an2+bn2≧an−12+bn−12≧a02+b02=2.
(1)の非対角成分の式と an−1cn−1−bn−12=1 から
bn=an−12+bn−12bn−1
である。b0=1>0 なので bn>0 であり、さらに
0<bn≦21bn−1
となる。よって 0<bn≦2−n だから
n→∞limbn=0.
(イ)
(1)の対角成分から
an−an−1=an−12+bn−12bn−12(an−1+cn−1)=an−12+bn−123bn−12≧0.
したがって an は増加する。また ancn=1+bn2>0 かつ an+cn=3 なので 0<an<3 であり、an は収束する。その極限を α とすると、cn=3−an と(ア)を保存式へ代入して極限を取ることにより
α(3−α)=1
を得る。an≧a0=1 だから
したがって
n→∞liman=23+5,n→∞limcn=23−5.