東京大学 1989年度
文理共通数学 文科第1問・理科第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 文科一類・文科二類・文科三類・理科一類・理科二類・理科三類
- 分野
- 関数、方程式・不等式
- 解法
- 文字消去、対称式の利用、範囲評価
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 —
問題
2つの曲線
y=k(x−x3),x=k(y−y3)
が第1象限に x=y で交点をもつような実数 k の範囲を求めよ。
出典:東京大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験 文理共通 文科第1問・理科第1問
方針
交点を (α,β) とおき、2本の式を差と積で組み合わせる。α=β により差の式を割ることができ、さらに u=α+β, v=αβ を導入すると、正の異なる2数 α,β が存在する条件が判別式 u2−4v>0 にまとまる。最後に得た条件から実際に第1象限の交点が作れることも確認する。
解答
交点を (α,β) とする。第1象限の点なので α>0,β>0 であり、条件より α=β である。2本の曲線の式から β=k(α−α3),α=k(β−β3) が成り立つ。
まず2式を引くと β−α=k{α−β−(α3−β3)} である。ここで α3−β3=(α−β)(α2+αβ+β2) だから β−α=k(α−β){1−(α2+αβ+β2)}. α=β より α−β=0 なので、両辺を α−β で割って α2+αβ+β2=1+k1 を得る。
次に2式を掛ける。αβ>0 で割ると 1=k2(1−α2)(1−β2) である。ここで u=α+β,v=αβ とおくと、先ほどの式は u2−v=1+k1 となる。また積の式は 1=k2(1−α2−β2+α2β2)=k2(1−u2+2v+v2) である。u2=1+k1+v を代入すると 1=k2(v2+v−k1) すなわち v2+v=k1+k21 である。これを解くと (v−k1)(v+1+k1)=0 である。v=αβ>0 だから v=k1 であり、特に k>0 である。さらに u2=1+k2 である。
正の異なる α,β が存在するためには、2次方程式 t2−ut+v=0 が正の異なる2解をもてばよい。ここで u>0, v>0 なので、必要十分条件は判別式が正であること、すなわち u2−4v>0 である。上の値を代入すると 1+k2−k4>0 だから 1−k2>0. k>0 と合わせて k>2 を得る。
逆に k>2 なら、u=1+2/k, v=1/k として、正の異なる2解 α,β をもつ2次方程式を作れる。このとき α2+β2=u2−2v=1 であり、kαβ=1 だから
kα(1−α2)=kαβ2=β,kβ(1−β2)=kβα2=α
となる。したがって実際に2曲線は第1象限で α=β の交点をもつ。
よって求める範囲は k>2 である。